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電話のベルは十五回鳴って、そして切れた。ベルが死んでしまうと、まるで重力が均衡を失ってしまったような深い沈黙があたりに充ちた。氷河にとじこめられてしまった五万年前の石のような深く冷たい沈黙だった。十五回の電話のベルが僕のまわりの空気の質をすっかり変えてしまったのだ。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:39% 作品を確認(amazon)
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電話の音・電話が鳴る・着信
静けさ・静寂
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前後の文章を含んだ引用
...... どうしてなんだ? と僕は思った。どうして僕のことをみんなそっとしておいてくれないんだ? 十分ばかりあとでまた電話のベルが鳴ったが、今度は受話器をとらなかった。電話のベルは十五回鳴って、そして切れた。ベルが死んでしまうと、まるで重力が均衡を失ってしまったような深い沈黙があたりに充ちた。氷河にとじこめられてしまった五万年前の石のような深く冷たい沈黙だった。十五回の電話のベルが僕のまわりの空気の質をすっかり変えてしまったのだ。 二時の少し前に僕は庭のブロック屛をのりこえて「路地」に下りた。「路地」とは言っても、それは本来的な意味での路地ではない。正直なところ、それは何とも呼びようのな......
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電話の音・電話が鳴る・着信の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
携帯電話が震え、杏子の携帯電話番号をディスプレイに表示している。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ぼくの目の前で本当に鳴りだしたのだ。それは現実の世界の空気を震わせている。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ボールの弾む音が、不規則なときを刻むほか、あたりは溶け入るようにしずかだった・・・。
石坂洋次郎 / 青い山脈 amazon
鼓膜が変になるような静けさ
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
物音もなく、ひっ込むような静寂がじめじめと周りの世界に澱んでいた。
石坂洋次郎 / 若い人 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
家の中はあいかわらずしんとしていた。まるで防ぎようのない伝染病のように死の粒子が家じゅうに漂っていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
「電話」カテゴリからランダム5
黒い小さい機械(電話)が、いきばって身を震わせ、喚(わめ)き立てているように感じた。
吉行 淳之介 / 闇のなかの祝祭 amazon
受話器にじっと耳をあてていた。耳が受話器にはりついてとれなくなってしまうんじゃないかという気がするくらいしっかりとだ。
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
(小布団の敷かれていない電話機)じかに置くと、ベルが鳴ったとき耳障りながさつな音を立てる
向田邦子 / 花の名前「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
自分の手のなかに彼の携帯電話がある光景を目にするのは、これが初めてだった。黒く四角いフォルム、使い込まれた雰囲気は、手にはなじまず、私が本物の主人ではないと訴えかけている。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
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