弟はどんどん衰弱していって、ついにぶどうも食べられなくなってしまった。分厚くて丈夫そうな合成樹脂の袋から一滴ずつ落ちてくる、琥珀色やワイン色の液体だけが、何とか弟の身体にしみ込んでいった。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:87% 作品を確認(amazon)
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患者・病人・けが人
点滴
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前後の文章を含んだ引用
......ないように、彼の筋肉のベッドに潜り込んで、できるだけ長い時間、できるだけぐっすり、眠ることができればいいのに、と、痛いくらいにわたしは思った。 すぐに冬が来た。弟はどんどん衰弱していって、ついにぶどうも食べられなくなってしまった。分厚くて丈夫そうな合成樹脂の袋から一滴ずつ落ちてくる、琥珀色やワイン色の液体だけが、何とか弟の身体にしみ込んでいった。 例の徹底的な掃除が終わった後、しばらくすると看護婦が、液体入りの袋や両端にプラスティックの弁のついた細い管や一本一本真空パックされた針の束などを持って入ってく......
単語の意味
琥珀色(こはくいろ)
琥珀(こはく)
身体(しんたい)
琥珀色・・・琥珀(宝石の一種)のような色。黄色みを帯びた茶色。ウイスキーの色合いの表現に使われるなど透明感のある黄褐色のイメージも。
琥珀・・・アンバーの和名。木の樹脂が地中に埋没して、長い年月をかけて固まったできた宝石。色は茶色に黄色が混ざった半透明や透明。硬度2.5(ダイヤは10)。
身体・・・人のからだ。肉体。
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患者・病人・けが人の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(ベッドの上の患者)彼の寝ている姿は深手を負った小動物を思わせた。横向きにぐったりと寝そべり、点滴の針のささった左腕をだらんとのばしたまま身動きひとつしなかった。やせた小柄な男だったが、これからもっとやせてもっと小さくなりそうだという印象を見るものに与えていた。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
(患者)彼らの姿はたしかに墓場に集まってくる幽霊を信太郎にも連想させた。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
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点滴の表現・描写・類語(健康・体調・病気のカテゴリ)の一覧 ランダム5
小さなしずくがゆっくり落ちていくのを、気が遠くなるような気持ちで眺めていても、やはりいつかは袋が空になって、薄紅色の血液が管を逆流し始める。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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「人の印象」カテゴリからランダム5
あまり人通りの多い歩道橋ではないが、それでも五時すぎになると、短い間、人の流れが出来た。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
焼け爛れた皮膚が乾き切るまでに二箇月以上要した中々の重傷
谷崎潤一郎 / 春琴抄 amazon
肩は動かすたびごとにめりめり音がするかと思うほど固く凝り
有島武郎 / 或る女
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