杉は、まっすぐ垂直に伸びるので、濡れそぼった窓からは、霞の中に浮かび上がっているその足許だけが見える。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:93% 作品を確認(amazon)
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霧・かすみ・もや
山道・峠道
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前後の文章を含んだ引用
......雑木の繁茂が、時折フロントガラスをくすぐり、車体が揺れる度に、泥水の翼が、タイヤの下で驚いたように羽ばたいた。尻に伝わってくる振動には、冒険的なものがあった。 杉は、まっすぐ垂直に伸びるので、濡れそぼった窓からは、霞の中に浮かび上がっているその足許だけが見える。急峻な道を走っているので、今日は霞んで見えないが、その木々の先には、ただ空だけがあるはずだった。 道は大きくうねっていて、時々視界が開けると、遥か遠くの下方に、......
単語の意味
霞(かすみ)
霞・・・1.遠くにある山などの前に、帯状の煙りのようなものが見える現象。春の朝などによくある、遠くをはっきり見えなくさせる雲のようなもの。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
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凍ったような層の厚い靄が、いく手の道路を黝(くろ)ずんだ灰色に暈(ぼか)す
野上 弥生子 / 真知子 (1951年) amazon
黄色いスープのような靄におおわれる
北 杜夫 / さびしい乞食 amazon
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この辺は、ワラビ、ウド、アザミ、タケノコなど山菜の宝庫らしい。
太宰 治 / 津軽 amazon
胸を突かれるような徳本峠
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
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大きなトタンの屋根を、風に乗った雨が動物的な早さでうわーっと走っていく
椎名 誠 / 新橋烏森口青春篇 amazon
雨の音が空虚な心をいっぱいに埋めつくす
幸田 露伴 / 観画談 amazon
(風が吹くと)樹 々 は身震いをして雨滴をおとします。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
途切れそうで途切れない憂鬱な雨の中で、毎日がだらだらと過ぎていった。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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山々のまっただなかを電車で走ると、森を走るのとほとんど変わらない光景になる。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
カーブを曲がるたびに揺れ、遠心力がかかって身体があっちやこっちに投げ出される車に、酔ってしまった。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
高速道路を疾駆する車両の発する重低音
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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