コンサート会場は、音楽以前にまず、静寂をこそ壁で囲い込んで守る場所である。それは、この社会の、いや、自然界にさえどこにも存在しない、静寂の避難場所である。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:8% 作品を確認(amazon)
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静けさ・静寂
コンサート会場
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前後の文章を含んだ引用
......で、〝天才〟という評判に誘われて来たと、わざわざ意味ありげに告げて帰る者もあった。 芥川の言う「静寂の美への対決」とは、ひとつに、舞台に立つ人間の感覚だった。 コンサート会場は、音楽以前にまず、静寂をこそ壁で囲い込んで守る場所である。それは、この社会の、いや、自然界にさえどこにも存在しない、静寂の避難場所である。 蒔野自身、昨年は八十六回もその「静寂の美」と対峙していた。彼はそれを、刃物の冴えを確かめるように感じ取り、最初の一音のために、その冷たい先端がそっと胸に触れる......
単語の意味
静寂(せいじゃく)
静寂・・・物音一つなく静まり返っていること。ひっそりとして寂しさのあること。また。そのさま。「寂」は訓読みで「しず(か)」とも読める。
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
森の奥に隠れる湖のように、透明な沈黙だった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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コンサート会場の表現・描写・類語(店・施設のカテゴリ)の一覧 ランダム5
洋子がホールに到着した時には、既に客席の人の潮は満ちつつあった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
(コンサートホール)大ホールの扉を開けると、気圧まで変わったように感じた。森だ。森にいるみたいだった。建物の中に入ったときから、外とはざわめきの伝わり方が違った。空気の流れも違う。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
雨の傘に落ちる音が、遠くの海を渡っていく女たちの啜(すす)り泣きのように耳に届く
高橋 三千綱 / 涙 amazon
診察室に入ると耳の奥がじんと震えるみたいに静かで、カルテをめくる音とか、ピンセットで清浄綿をつまむ音とか、ケースから注射器を取り出す音とか、そんなささやかな音しか聞こえないわ。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
「店・施設」カテゴリからランダム5
(裁判官)黒い法衣をまとった姿は、厳格な学者然としている。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
手を上げてウェイターを呼び、スコッチのおかわりを頼んだ。
村上春樹 / 象の消滅「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
髪をばっさり切ると、他人の対応が少し変わるから、自分の性格も微妙に変化する。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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