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(山から見下ろした夜明けの風景)中の海のむこうから海へ突き出した連山の頂が色づくと、美保の関の白い燈台も陽を受け、はっきりと浮び出した。間もなく、中の海の 大根島 にも陽が当り、それが あか えい を伏せたように平たく、大きく見えた。村々の電燈は消え、その代りに白い 烟 が所々に見え始めた。然し麓の村は未だ山の陰で、遠い所より 却って暗く、沈んでいた。謙作はふと、今見ている景色に、自分のいるこの大山がはっきりと影を映している事に気がついた。影の輪郭が中の海から陸へ上って来ると、米子の町が急に明るく見えだしたので初めて気付いたが、それは停止することなく、ちょうど 引網びきあみ のように 手繰たぐられて来た。地を めて過ぎる雲の影にも似ていた。中国一の高山で、輪郭に張切った強い線を持つこの山の影を、そのまま、平地に眺められるのを 稀有 の事とし、それから謙作は或る感動を受けた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:88% 作品を確認(amazon)
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夜明け 見下ろした風景
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前後の文章を含んだ引用
......のが見えた。その他、女郎花、吾亦紅、萱草、松虫草なども萱に混って咲いていた。小鳥が啼きながら、投げた石のように弧を描いてその上を飛んで、又萱の中に潜り込んだ。 中の海のむこうから海へ突き出した連山の頂が色づくと、美保の関の白い燈台も陽を受け、はっきりと浮び出した。間もなく、中の海の大根島にも陽が当り、それが赤鱏を伏せたように平たく、大きく見えた。村々の電燈は消え、その代りに白い烟が所々に見え始めた。然し麓の村は未だ山の陰で、遠い所より却って暗く、沈んでいた。謙作はふと、今見ている景色に、自分のいるこの大山がはっきりと影を映している事に気がついた。影の輪郭が中の海から陸へ上って来ると、米子の町が急に明るく見えだしたので初めて気付いたが、それは停止することなく、ちょうど地引網のように手繰られて来た。地を嘗めて過ぎる雲の影にも似ていた。中国一の高山で、輪郭に張切った強い線を持つこの山の影を、そのまま、平地に眺められるのを稀有の事とし、それから謙作は或る感動を受けた。二十 彼は十時頃、漸く寺へ帰って来た。よく途中で、参ってしまわなかったと思う程、彼は疲れ切っていた。玄関の板敷で赤児を遊ばせていたお由が、入って来た謙作の様子を......
単語の意味
景色(けしき)
景色・・・風景。眺め。とくに、自然の眺め。
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日が入って風物すべてが青味を帯びて見られるころ
志賀 直哉 / 真鶴「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon関連カテ夜明け
一番鳥いちばんどりが鳴きわたる時刻
有島武郎 / 生まれいずる悩み
あまりにもきれいな東京の夜明け。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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部屋は三十二階で、外の眺めは、低く広がる街並だった。
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吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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