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タラップは降ろされたままになっていた。そして、その段々に飯粒や蟹の肉や茶色のドロドロしたものが、ゴジャゴジャになった嘔吐へどが、五、六段続いて、かかっていた。嘔吐からは腐ったアルコールのにおいが強く、鼻にプーンときた。胸が思わずカアーッとくる匂いだった。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:68% 作品を確認(青空文庫)
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嘔吐・吐き出す
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前後の文章を含んだ引用
......れない、甲板を行ったり、来たりしている靴のかかとのコツ、コツという音がしていた。実際、そして、騒ぎは夜明けまで続いた。  士官連はそれでも駆逐艦に帰って行ったらしく、タラップは降ろされたままになっていた。そして、その段々に飯粒や蟹の肉や茶色のドロドロしたものが、ゴジャゴジャになった嘔吐へどが、五、六段続いて、かかっていた。嘔吐からは腐ったアルコールのにおいが強く、鼻にプーンときた。胸が思わずカアーッとくる匂いだった。  駆逐艦は翼をおさめた灰色の水鳥のように、見えない程に身体をゆすって、浮かんでいた。それは身体全体が「眠り」をむさぼっているように見えた。煙筒からは煙草の煙よりも......
単語の意味
胸(むね)
蟹(かに)
・・・1.体の前面で、首と腹との間の部分。また、その内側にある心臓や肺臓、胃などの内臓。
2.(胸に宿るとされている、)心。想い。心中。
3.乳房(ちぶさ)。おっぱい。
・・・エビ目(十脚類)カニ亜目(短尾類)の甲殻類の総称。水中や水辺にすむ。5対の足のうち第1対は鋏(はさみ)となっていて、捕食に役立つ。横向きに歩行するのが一般的であるが、前向きに歩く種も少なくない。食用。
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私はただ吐いていた。空の胃から黄色い液だけが出た。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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氷のような寒気が背からへつらぬいていく
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
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少しだけ胃液が出た
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私はただ吐いていた。空の胃から黄色い液だけが出た。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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