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首を向けるためにはベッドから起きあがって体そのものを廻さなければいけない。プラスチックの堅いカラーが、 鞭打ち症の首をきっちりと固定しているからだ。
阿刀田 高 / 甲虫の遁走曲(フーガ)「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:1% 作品を確認(amazon)
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患者・病人・けが人
寝たきり
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前後の文章を含んだ引用
......聞いたような声だがすぐには思い出せない。「もし、もし」 あたりを憚るような、かすかな声である。「だれだ?」 北村一彦は病室の、ほの白い天井を見つめながら言った。首を向けるためにはベッドから起きあがって体そのものを廻さなければいけない。プラスチックの堅いカラーが、鞭打ち症の首をきっちりと固定しているからだ。「もし、もし」 ああ、そうだ。声はテレビ漫画のロボットの音声によく似ている。音節の一つ一つを区切って発音するような、どこか鼻声のような……。 声はベッドの脇の、......
単語の意味
体(からだ)
首・頸・頚(くび)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
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患者・病人・けが人の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
病院のベッドの上で、美咲は透明になりかけていた。薄くなり、色を失い、透けていこうとしていた。このまま消えちゃうんじゃないかと思った。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
桑木はその暗い部屋から出て本館二階の普通病室に移された。個室だったが窓から溢れている外光が眼に痛かった。その窓枠の下には届けられた花がいくつもならんでいた。知り合いの人たちの見舞だが、赤い、華やかな色はこれまでの灰色の壁だけの部屋とは別世界だった。桑木は地獄から帰還したような心持になった。
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
(美しい女患者)胸もとを拡げる彼女は病人かと思われる程美しい皮膚を持っていた。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
病人が暗がりの中で、灰色の石のように横たわっている
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
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寝たきりの表現・描写・類語(健康・体調・病気のカテゴリ)の一覧 ランダム5
半分以下の体重になっていたのです。潮が引いた海岸の岩場のように、あばら骨が浮かび上がっていました。
村上春樹 / 独立器官「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 amazon
(昏睡状態でたまに意識が戻った時)「夜の八時、帝国ホテルのロビイへ……行ってくれ」 眼をポッカリとあけ、 虚空 を見つめたまま枕もとの私に告げた。
阿刀田 高 / サン・ジェルマン伯爵考「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
乾いた唇はまるで縫いつけられたみたいに、固く閉じられています。
村上春樹 / 独立器官「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 amazon
歩くことを忘れた二本の足が、空洞のガラス管のように力なくのびている。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
濡れたタオルでまず顔を拭く。さえは目を細め唇を突き出す。それは表情と呼べるものではなく、ただの筋肉の変形に過ぎない。さえはもう、わたしに信号を送ることを忘れている。彼女は短い間にいろいろなものを忘れていった。例えば時間、名前、食欲、苦しみ、発語。その間に肉体は萎え、胎児のように縮んでゆく。彼女はどこかへ戻ろうとしている。羊水の感触のように、思い描くことのできない確かな記憶。海のように重い時の一掬いが自分を包んでいた記憶。そんな記憶の中に、彼女は足を踏み入れようとしている。そして不必要なものを置き去りにしてゆく。例えば祈り、ことば、涙、わたし。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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「人の印象」カテゴリからランダム5
自分だけ一足先に抜けたり、街路を突っ切るなどということはとても不可能なことであった。
宮本百合子 / 伸子
眼のすっかり落ち 窪んだ、頰のこけた、顔色も青黄色くなった、そして全体に一トまわり小さくなったような謙作
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
浮世のボオフラのような男
林芙美子 / 新版 放浪記
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
頬や手や太腿に薄い薔薇色の斑点が出ていた。腐ったシュークリームのせいで、リエの内臓も一緒に腐ってしまって、薔薇色の黴が生えたようだった。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
(自閉症専門のカウンセラー)こういう仕事にひどく疲れるときもある。 患者を本当に助けたかったら、患者にシンクロしたり、共鳴したりしてはいけない。でも強烈にただ、同調を求めてくる患者に波長を合わせないようにするのは苦しい。腹ぺこのときに目の前にごちそうがあっても気にしないようにする、それと同じくらい難しい。 向こうは命がけでシンクロだけを望んでいるのだから。エネルギーのすべてをその一時しのぎに注いでくるのだ。 だから 喩えて言うと、プロのウエイターになったように意識を保つ。腹がへっていてもウエイターが食べ物を運びながらむらむらしていては仕方がない。そんなふうにそらす。 自分が何をしたいのかを忘れないようにする。治したいんだろう? 治ってもらいたいんだろう? その基本に常に意識を合わせる。適当にでも何でも、合わせる。とりこまれないようにする。 自分が手伝おうとしているもののほうに協力体制がない、そのことに時々、ものすごーく疲れる。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
痺れを感じていた。疲労はピークを迎えているに違いなかった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
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