(娘の死体を見る)母親は自身とは急に遠くなった物でも見るような一種 悽惨 な 冷淡 さを顔に表わして見ていた。
志賀 直哉 / 正義派「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 ページ位置:13% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
死人・遺体
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......。一度女の児の側へ寄ったが、それっきりで後は少し離れた処から、立ったままただボンヤリとそれを見ていた。巡査が車の間から小さな血に染んだその死骸を曳き出す時でも、母親は自身とは急に遠くなった物でも見るような一種悽惨な冷淡さを顔に表わして見ていた。そして母親は時々光を失った空虚な眼を物悲しげに細めては落着きなく人だかりを越して遠く自家の方を見ようとしていた。 どこからともなく巡査とか電車の監督などが集って......
単語の意味
凄惨・悽惨(せいさん)
冷淡(れいたん)
凄惨・悽惨・・・見ていられないくらいひどく痛ましいこと。また、そのさま。
冷淡・・・1.ものごとに興味や関心を示さないこと。気持ちが冷めていること。淡白。
2.思いやりがないこと。苦しんだり悩んだりしている相手の心を理解する気持ちを示さず、態度が冷たいこと。
2.思いやりがないこと。苦しんだり悩んだりしている相手の心を理解する気持ちを示さず、態度が冷たいこと。
ここに意味を表示
死人・遺体の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(首を切り落とされた)座ったままの死体は、ボタンで蓋の開く電気ポットのようだった。首の端の皮一枚で繫がり、まるで頭部そのものが、首から出る血液の柔らかい蓋であるかのように。
中村文則 / 教団X amazon
きたならしい漆喰の人形のような女のむくろ
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
このカテゴリを全部見る
「人の印象」カテゴリからランダム5
ソファに腰を下ろすと、放心したように 項垂れた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
音もなく台所に入ってきたのを背中で感じて、私はソファー越しに振り向いた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
若い時代が来ていて、古葉にかわろうとするような、みずみずしい生命のかがやき
島崎 藤村 / 三人の訪問者 amazon
さつじん【殺人】人を殺すこと。読者の興味を失わせないために、唐突に発生する事象。―じけん【殺人事件】小説が推理小説であることを分かりやすく広告するために、題名に付けられる接尾語。「後光――」
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
髭を生やした男が、口から泡のようなものを吐き出し、首を吊っている。ゆっくりとではあるが、回転もしていた。足元に垂れている水溜りは、男の失禁によるものだろう。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
きたならしい漆喰の人形のような女のむくろ
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
同じカテゴリの表現一覧
人の印象 の表現の一覧
生と死 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ