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法衣が擦れる音と、革靴のソールが床を叩く乾いた音だけが鳴り続ける。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:0% 作品を確認(amazon)
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足音・靴音
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......」紀藤も頷く。「まず、ないことですから」「そうですね」中西もつられるように首を動かした。「さあ、行きましょう」 給湯室脇の鉄扉を開け、法廷までの専用通路を歩く。法衣が擦れる音と、革靴のソールが床を叩く乾いた音だけが鳴り続ける。威厳づけるわけではないが、足取りはゆったりと心がけている。ほかの者も勲に合わせてくる。昔はもう少し早足で移動していたが、息を切らせて開廷するのもおかしく、五十代......
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