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(夜明け前)わたしはこの時刻がほかのどんな時刻よりも好きだ。この時刻はわたしひとりのものだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:60% 作品を確認(amazon)
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深夜
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......い滋養の闇を吸い続けるだろう。それから例によって月がいる。月は陰鬱な祭司のように冷たく屋根の上にいて、その両手に不妊の海を捧げ持っている。 世界中どこにいても、わたしはこの時刻がほかのどんな時刻よりも好きだ。この時刻はわたしひとりのものだ。そしてわたしは机に向かってこの文章を書いている。間もなく夜が明けるだろう。母親のわきの下から生まれでるブッダのように、新しい太陽が山の端からむっくりと顔を出すだ......
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