都会であわただしく日々を過ごしていると、つい足もとばかり見て生きるようになる。夜空に目をやることさえ忘れてしまう。

（都会の夜空）都市の世俗的な明かりが、いつものように星の姿をかき消していた。空はきれいに晴れていたが、いくつかのとくべつに明るい星が、ところどころに淡く散見できるだけだ。しかしそれでも月だけはくっきりと見えた。月は照明にも騒音にも汚染された空気にも苦情ひとつ言わず、律儀にそこに浮かんでいた。目をこらせば、その巨大なクレーターや谷間が作り出す、奇妙な影を認めることもできた。

十時頃だった、星が澄んで光っている。

空には雲が多く、月はその背後に隠れている

青から藍（あい）に変わって行きつつある初夏の夜

星が切れるように冴えかえっていた。

全天を蔽う巨大な樹枝状となって、さながら銀河のお化のように頭上にのしかかっていた。

星がラッパを吹いている。 突きさしたら血が吹きこぼれそうだ

降るような夏の星空

なまけものに夢を見させる、あの金色の小さなやつさ。

昼間のように明るい月光

雨雲が陰鬱な影を投げる

空は鏡のように光って

夜道を星の光で歩く

道沿いの細い水が月の光を砕きながら流れる

雨模様の闇がたちこめている

黄褐色の樹々の葉が斜光線の空を背景にして、細かく風に揺れていた。散る葉もあった。

（夕方）僕はこの頃今時分になると情けなくなるんだ。空が奇麗だろう。それにこっちの気持が弾まないと来ている

夜明け前が一番暗い

黎明しののめ のほのかな光。光はむき出しになった司祭の鶏のような首と鎖骨の浮いた肩にさした。