(ハワイの風)ホテルの部屋のベランダから顔を出していると、うっとりするような風が吹いていて、家に帰ってからハワイのこと思い出すと、いつもあの風に甘い匂いがついていたように思うの。《…略…》家に帰るといつだって思い出すのは蜂蜜のようなこの甘い風の匂いなのだ。
よしもとばなな / 銀の月の下で「まぼろしハワイ」に収録 ページ位置:30% 作品を確認(amazon)
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南の島
風
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前後の文章を含んだ引用
......ろいろな人が熱い陽射しの中を夢の中のように行き交っていて、建物も陽にさらされて真っ白で、天国にいるように思えた。 ふと、春香ちゃんの言っていたことを思い出す。「ホテルの部屋のベランダから顔を出していると、うっとりするような風が吹いていて、家に帰ってからハワイのこと思い出すと、いつもあの風に甘い匂いがついていたように思うの。」 ベランダに干した洗濯物を取り込んでいたら、ソファに座っていた春香ちゃんがにこにこしてそう言ったのだった。 私たちはもうちょっとだけ時期がずれていたら、いっしょに暮らしたりほんとうのきょうだいだったのかもしれないんだなあ、と思いながら、私は聞いていた。 そして春香ちゃんの言うことはほんとうだ、と思った。 ハワイでだってよからぬものはたくさん見るはずなのに、家に帰るといつだって思い出すのは蜂蜜のようなこの甘い風の匂いなのだ。 そこで、私は知っているものが視界に入ってきた驚きで全てをすっとばして何を考えていたのかも忘れてしまった。 前から歩いてきたのは、アロハシャツを着てサングラスを......
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(ハワイ)あの体をなでるような風、薄青くどこまでも続く空の広がり、やたらに濃い緑、白く 尖っては巻き込まれていく波の様子、長い長いワイキキのビーチの砂のしっとりとした感じ……どんなに音があっても、なぜか音がない世界のようなあの島。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
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風が強くて、会話をぼろぼろになった旗のように吹きちぎる
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
初秋の風が芭蕉の葉を動かして、素肌に吹きつけた帰りに、読みかけた手紙を庭の方へなびかしたから、しまいぎわには四尺あまりの半切れ(=手紙用の横長の和紙)がさらりさらりと鳴って、手を放すと、向こうの生垣まで飛んで行きそうだ。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
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みずみずしい風が吹く。それもしみったれて少しずつ吹いている。
林芙美子 / 新版 放浪記
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丘陵が重なり合い、その間に谷戸が毛細血管のように入り込む
森村 誠一 / 深海の迷路 amazon
一瞬にして心が浮き立つ眺めだった。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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