（衰弱した患者）ブルーのパジャマを着ていたので、首筋と手首の白さが余計に引き立って見えた。皮膚の細胞が一個一個透明になっていくような白さだった。このままどんどん身体が透明になって、空気の中に溶けていくようなきれいな死に方を、弟はするのだろうかと思うと、不安で悲しかった。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置：69% 作品を確認（amazon）
この表現が分類されたカテゴリ
患者・病人・けが人
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......を見て、一番にあなたのことを聞くの。なかなかお見舞いに行けなくて悪いなって、気にしてるみたい。」「そんなことはいいんだ、別に。」 弟はじっと病室の壁を見ていた。ブルーのパジャマを着ていたので、首筋と手首の白さが余計に引き立って見えた。皮膚の細胞が一個一個透明になっていくような白さだった。このままどんどん身体が透明になって、空気の中に溶けていくようなきれいな死に方を、弟はするのだろうかと思うと、不安で悲しかった。弟の目は、病室をすり抜けてもっとずっと遠くて深い所を見ているようだった。「義兄さんとはうまくやってる？」「そうね。何とかやってるわ。」「義兄さんと一緒にいる時の......
単語の意味
身体（しんたい）
首筋・頸筋（くびすじ）
身体・・・人のからだ。肉体。
首筋・頸筋・・・首の両側から後部にわたる部分。首の後ろ側の部分。項（うなじ）。襟首（えりくび）。首根っ子・頸根っ子（くびねっこ）。
ここに意味を表示
患者・病人・けが人の表現・描写・類語（人の印象のカテゴリ）の一覧 ランダム５
このカテゴリを全部見る
「人の印象」カテゴリからランダム５
梶井基次郎 / 路上
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム５
疲れて五感がにぶっている
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
日頃の疲れや 錆 のようなもの
よしもとばなな / 銀の月の下で「まぼろしハワイ」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
人の印象 の表現の一覧
健康・体調・病気 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ
