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(船上の夜明け)美しい夜あけである。乳色の涼しいしぶきを蹴って、この古びた酒荷船は、颯々 と風を切って走っている。月もまだうすく光っていた。
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:38% 作品を確認(青空文庫)
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夜明け
船・ボート
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前後の文章を含んだ引用
......ンと波の音が響く。 (九月×日) もう五時頃であろうか、様々な人達の物凄 い寝息と、蚊にせめられて、夜中私は眠れなかった。私はそっと上甲板に出ると、吻 と息をついた。美しい夜あけである。乳色の涼しいしぶきを蹴って、この古びた酒荷船は、颯々 と風を切って走っている。月もまだうすく光っていた。 「暑くてやり切れねえ!」 機関室から上って来たたくましい船員が、朱色の肌を拡げて、海の涼風を呼んでいる。美しい風景である。マドロスのお上さんも悪くはないなと思う......
単語の意味
乳色(ちちいろ)
颯颯・颯々(さっさつ)
乳色・・・牛乳のような色。少し濁りのあるような白。乳白色。
颯颯・颯々・・・風が吹くさま。風の吹く音の形容。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
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まだニワトリすら鳴いていない時間
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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