(朝霧の中)坂の真下には、 葦 の葉の茂った海が長い半島にかこまれて、乳色の湖のように遠くまでつづいている。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:62% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
霧・かすみ・もや
岬・半島
海
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......かろうが」 本当に坂が多かった。小さな萱葺き民家がおい重なった坂もあった。鶏が朝の刻をつげ、昨夜の盂蘭盆の名残りか、軒下には色あせた提燈が力なくころがっている。坂の真下には、葦の葉の茂った海が長い半島にかこまれて、乳色の湖のように遠くまでつづいている。霧の晴れてきた背後にはあまり高くない丘が幾つか並んでいる。 海のちかくに松林があった。松林の前に籠がおかれ、裸足の侍たちが四、五人、しゃがみながら、何かを食って......
単語の意味
乳色(ちちいろ)
葦・蘆・葭(あし)
乳色・・・牛乳のような色。少し濁りのあるような白。乳白色。
葦・蘆・葭・・・水辺に生える草の一種。沼や川の岸に群がって生える。若芽は食用になり、茎は編んですだれを作る。
ここに意味を表示
霧・かすみ・もやの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
女が布をゆっくりと振っているような霞が揺れる
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
広い東京市中が、海のような濛靄(もや)の中に果てもなく拡がって見えたり
徳田 秋声 / 足迹 amazon
このカテゴリを全部見る
岬・半島の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
西へ耳のように張り出した半島
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
沖へ沖へ低く延びている 三浦半島が遠く 薄暮 の中に光った水平線から宙へ浮んで見られた。
志賀 直哉 / 真鶴「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
緑色の棒を寝かせたような半島
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
船はすすみ、緑の木立ちや黒い小さな屋根をのせて岬はすべるように近づいてきた。
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
このカテゴリを全部見る
海の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
明るい、快活な、生き生きした海
梶井基次郎 / 海 断片
このカテゴリを全部見る
「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
(道頓堀川)墨汁のような色をたたえてねっとりと 淀む巨大な泥溝
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
銀色の燈台
林芙美子 / 新版 放浪記
「雨・霧」カテゴリからランダム5
往来には厨 の煙とも夕靄 ともつかぬ薄い霧がただよって
有島武郎 / 或る女
「地上・陸地」カテゴリからランダム5
田圃(たんぼ)の真ん中に、まるで蜃気楼のように出現したマンモス団地
後藤 明生 / 挾み撃ち amazon
丘陵が重なり合い、その間に谷戸が毛細血管のように入り込む
森村 誠一 / 深海の迷路 amazon
同じカテゴリの表現一覧
水面・水中・水辺 の表現の一覧
雨・霧 の表現の一覧
地上・陸地 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ