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日が暮れてしまうと極度に冷気が感ぜられ、月の明るみの中に透明な細かい粉が高い晴れきった夜の濃青の空から、一しきり降りては、はたと山の地に鳴く一面の虫の声と共に止まるように思われた。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:37% 作品を確認(amazon)
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日の入り・日没
月の光・月明かり
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前後の文章を含んだ引用
......月が上ろうとするらしく、白い明るみが、吉田山の山側から北へ続いた盆地の中の眼下の屋根屋根の瓦を照らし、その瓦の一枚一枚が鱗のような黒い影をつけて浮き上っていた。日が暮れてしまうと極度に冷気が感ぜられ、月の明るみの中に透明な細かい粉が高い晴れきった夜の濃青の空から、一しきり降りては、はたと山の地に鳴く一面の虫の声と共に止まるように思われた。未だ月をその自分の姿の中に隠しもっている山端の松林、その上の明るみ渡る空を背に坂を下って行くと、坂道なので、ひとりでに彼の眼は頭の上に拡がっている巨大な星の流れ......
単語の意味
暮れる(くれる)
冷気(れいき)
晴れ(はれ)
暮れる・・・1.太陽が沈んで外が暗くなる。⇔明ける。
2.季節や年が終わる。「年が暮れる」
3.同じことの繰り返しや、同じ気持ちのままで時間を過ごす。「涙に暮れる」
昏れる・眩れる・暗れる・闇れる、とも書く。
2.季節や年が終わる。「年が暮れる」
3.同じことの繰り返しや、同じ気持ちのままで時間を過ごす。「涙に暮れる」
昏れる・眩れる・暗れる・闇れる、とも書く。
冷気・・・ひんやりと冷たい空気。冷え冷えした気候。
晴れ・・・1.天気がいいこと。雨や霧などが伴わない天気。空に雲が少ない、もしくはまったく無い状態。
2.多くの人から注目されて、光栄に思うこと。待ちに待った、めったにない機会であること。晴れがましいこと。正式なこと。公式なこと。
3.疑いが解けて、自由になること。「晴れて自由の身になる」
2.多くの人から注目されて、光栄に思うこと。待ちに待った、めったにない機会であること。晴れがましいこと。正式なこと。公式なこと。
3.疑いが解けて、自由になること。「晴れて自由の身になる」
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日の入り・日没の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
山々が夕陽の最後の光を映して薄紫に輝き、頂きのなだらかな線をしばらく黒く強く暮れ残る薄白い夕の空にきわだって見せていたが、やがて潮が引くように次第に暮の色が山並から下りて来る。
野間宏 / 第三十六号「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
太陽は向うの丘に隠れ、頂上に並んだ樹の間から、光線が 縞 をなして 迸った。空に残った雲だけ、まだ金色に光っていた。我々は 暫く光る雲に照されていた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
窓の風景から消えてゆく日影に限りない愛惜を持っていた。
梶井基次郎 / 冬の蠅
落日を見ようとする切なさに駆 られ
梶井基次郎 / 冬の蠅
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空は無気味なほど 蒼かった。一はけの雲もなく、蒼はどこまでも広く深く続いていた。
阿刀田 高 / 蒼空「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
ひらいた相 が上品でも、音響が何里四方をゆるがしても、また人工の星が宇宙の星を連れて地へ下がって来ても
吉川英治 / 銀河まつり
美しい夕映えだった。バラ色に染まった柔らかい雲が、空一面に広がっている。
三浦綾子 / 続氷点 amazon
「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
若草山が青空にくっきりと浮きあがって見え、うすく色づいた樹々がすっかりねむりからさめ、しだいに陽光があたたかくなってくる。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
夜はまだ完全に明けきらず、これから昇る太陽が、東の空を 萌葱色に染めている様は言葉を忘れてみとれてしまうほど美しい。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
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