燃え上るような緑の森

赤みがかったぎらぎらした太陽が、白樺の雑木林を踊るように照らす

吹雪の夜のこういう松林の負傷の青は、車の前燈に染め出されると、稲妻のなかの女の裸体のように、実になまなましかった。

もくもくして来た緑の群落

雨上がりの雑木林に湿った落ち葉の匂いが漂う

若葉に包まれてたった一軒建てられた西洋人の白ペンキ塗りの別荘が、夕日を受けて緑色に染めたコケットの、髪の中のダイヤモンドのように輝いていた。

ヘッドライトの光の先の方に、雑草の茂みがドキッとするほど鮮やかな緑色に浮き出す

森のような茂み

この辺は藪（やぶ）がありますので、春の末からもう蚊が出ます

深い草叢が細道を包み込んでいた。

暑さによどみ、がっくり肩を落とした木造の家並み

上の行くほどオーバーハングしている

溪に沿って道は少し上りになっている。

街を見回す。白、灰色、黄緑色、黄土色、と私は学校で使う絵の具に書かれた色の名前を思い出しながら呟く。この街のほとんどは、この四つの色で塗り潰されている。 　この街のイメージカラーは白なんだよ、と、引っ越してきたばかりのころ、父が教えてくれた。清潔で、ニュータウンという新品の街のイメージにぴったりだからだろうか。確かに、駅も、駅前の広場も、学校も、全部真っ白だった。 　街の奥にある森の深い緑や凄みのある黒ずんだ土などは、どんどん街に塗り潰され、淡い四色に飲み込まれていく。

ただ風が吹き渡り、柔らかな緑の草がそれに合わせて音もなく揺れている

微風が吹くと、一様に背を曲げる芒

腐った樹皮がミイラの皮膚のようだ。

タマリスクの花がね、町や野原から赤紫色の煙がいっせいに立ち昇るみたいに咲いていた。まるでこの世に花はタマリスクしかないみたいに――。

折れ曲がった細い梢が老人の指のよう

八つ手の樹の根本にうすく苔が繁茂し、蒼い毛氈（もうせん）のように光っている