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店の仕事机でじっとしていると、時々、自分は大丈夫だろうかと不安になるほどの空虚感に見舞われた。この世界と自分との留め金が外れてしまって、何の手触りもなく、時間が周囲を素通りしてゆく。池の底に沈んでいたゴミが、何かの拍子に浮かんでくるように、唐突に、死ぬことはそれほど恐いことではないのではという考えが意識に上った。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
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むなしい・虚無感
自殺願望・死にたい
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前後の文章を含んだ引用
......なら、俺が代わりに行っちゃるわっちゅうのがお父さんやったかいね。」と言った。 高校卒業以来、十四年ぶりに戻ってきた郷里での生活は、一種の慰安をもたらしはしたが、店の仕事机でじっとしていると、時々、自分は大丈夫だろうかと不安になるほどの空虚感に見舞われた。この世界と自分との留め金が外れてしまって、何の手触りもなく、時間が周囲を素通りしてゆく。池の底に沈んでいたゴミが、何かの拍子に浮かんでくるように、唐突に、死ぬことはそれほど恐いことではないのではという考えが意識に上った。あんなに小さな遼だって、既に経験したことであり、しかも父と一緒に向こうで待ってくれているのだから。──そして、そんな迂闊な考えに、体の芯が冷たく冴えるような恐さ......
単語の意味
手触り(てざわり)
手触り・・・1.手で触ったときの感じ。手に受ける感触。
2.物から直接受ける感じ。印象。
2.物から直接受ける感じ。印象。
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むなしい・虚無感の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
青寒い虚無感
岡本かの子 / 金魚撩乱
彼の胸や腹のなかは、先ほどまでいっぱいつまっていた生ぬるい温度につつまれた期待や抵抗や欲望や不安などが、一挙にどこかへ退いて行ったため、全く空虚で、がらんどうで、空のブリキ缶がそこに入れられているかのようにも思っていた。
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
(返ってくるはずのない父を待って)何台ものバスが過ぎた。乗客は次第に減って行った。一台をやりすごすたびに、恭一の心もうつろになって行った。からっぽのバスが来ると、胸もからっぽになった。
浅田次郎 / 角筈にて「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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沈みこむような悲しさだけがあった。それはわたしの体温を瞬時にして一、二度下げてしまったような気がした。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「気分が晴れない・落ち込む」カテゴリからランダム5
老司祭は机の上に 肘 をついたまま、 掌 で額を支えてしばらく黙っていられた
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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生命の焔(ほのお)が恐ろしい力で燃え尽きて行く
島崎 藤村 / ある女の生涯 amazon
命拾いしたのだからこれくらい大きな幸運はあるまい。 単に命が助かっただけではない。一旦は絶望していた仕事への希望が戻ってきた。
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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