冬の比喩表現の例文 一覧

霧をはらんだ冬の夜ふけの冷たい空気が硬い粉のように瞼や頬に痛かった

雪解けで道があんこのようにこねこねしている

暖冬とはいえ、夜の外気はきりりと肌をさすようにはりつめているものだ

凍みて石のように固い空模様

何もかも寒さのために身動きできず、風さえも空で凍りついてしまっているような一日

軒先のつららが、糸を引くように雫（しずく）を落とす

空が、初冬の朝の拭き清めたような輝きに満ちる

空気がかちんかちんとちぢかんで、高台をうずめている木立が氷花のように澄む

冬の夜が錐（きり）のような霜を挟んでからりと明け渡る

つららが何本も何本もじゅずのようになってかかる

ねっとりとした春である。わずかにしめっている女の脇の下を思わせる春である。

春がもう豹のような忍び足で訪れていはしたものの

冬はまだ檻のように、仄暗く頑なに、その前面に立ちふさがっていた。

季節は厳冬に入り、空気はそれを呼吸しようとするとまるで凍った固体のように咽喉を塞ぎ、真空の無数の針のように皮膚を刺した。

草葺（くさぶき）の屋根を伝う濁った雫が凍るのだから、（氷柱は）茶色の長い剣を見るようだ。

氷柱の簾が檐（のき）に下っており、銀の大蛇のように朝の光線に輝いている

冬の午後の薄光りはその（トンネルの）地中の闇へ吸い取られてしまったかのように@略@もう峰と峰との重なりの間から暮色の立ちはじめる山峡

枯れた枝がとげとげしく寒い空間をつき剌すように、緑色の苔のある黒い姿を風の中にさらしていた。

長い冬の耐えがたい重たさにも耐えてきた私たちは、しらずしらず落葉松のようになだらかな抵抗法をも会得してしまう。

風の強い冬の夜には、明かりのついた窓は特別な優しい温もりを獲得する。天吾は光の灯った窓をひとつひとつ順番に目で追っていった。小さな漁船から夜の海に浮かんだ豪華な客船を見上げるように。

肺をいったん空っぽにし、少し時間をおいて新しい空気で満たした。冷ややかな空気が無数の棘となって、胸を内側から刺した。

秋が終わり、朝の空気が肌を突き刺すようになる

海水の色が、暗い鋼の色から少しずつ淡い緑のまざった青へ変化して、ざわざわと鍋の中で沸騰するアクみたいに見えてくると、もう春だった

風がすっかり冷え切って、鋼の空には冬の予感がある

落葉松の小枝から霧氷がぱらぱら散って、桜の落花のよう

木々の枝を覆っていた氷が水晶細工の森のように光り輝く

霧のように染み透る冬の重い冷気

黒い毒液をこね回したような海に、雪が白い睡眠薬のように降り注ぐ

黒々と磨き上げられた冬の空

快かった風が冷たい冬の棘に変わる

こめかみを押し付けるような冬山の森厳な沈黙

ザラついた粒子の粗い冬の空

執念く土へ引っ付いていた冬が、蒸されるような暖かさに居たたまれなくなってそそくさと逃げ去る

正月が雪を率いて注連飾りの都を白くする

春とはいえ夕暮れになると、まだ未練がましい冬の気配が、粘り強く残っている

冬がひたすら躊躇しつつも地上に沈もうとする

冬の風が夜の街で白い牙をむく

冬の月が夜気を白刃のように凍らせる

冬の夕方の空が硝子のような色をする

冬の夜更けの冷たい空気が硬い粉のように瞼や頬に痛い

冬の夜が錐のような霜を挟んでからりと明け渡る

窓に冬の夜が執拗に貼り付いている

みぞれまじりの、空気が歯にしみるような寒い夕暮れ