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終電車はもうとうに終わっている。駅舎もホームも照明が落とされて暗い。駅周辺の商店も、住宅も、明かりの漏れている建物は少なく、林や畑はもとより夜の闇そのものみたいに真っ暗、というか真っ黒に映る。 そのなかをまばらな街灯が繫いで示す道は細く頼りなく曲がりくねり、今は寝静まっているこの街の人々の住まいと住まいを結びながら闇に突っ込んだように途絶えたり、明るいオレンジ色の街灯とともに北側を太く力強く走る国道に届いたりした。 その国道こそ時折トラックなどが走ってきて去っていき、動きの乏しいこの町の夜景が、時間の止まった静止画ではないことを気づかせてもくれるのだったが、南側の畑が広がる間の細い道路を移動する自動車の光があると、むしろ時間と空間を超え来た物体を夜空に見ているような錯覚に陥った。
滝口 悠生 / 死んでいない者 ページ位置:96% 作品を確認(amazon)
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夜
車が走る
街や村の雰囲気・印象
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前後の文章を含んだ引用
......り返し、あー、気持ちいー、と間抜けな声をあげて目を閉じた。 あれ、と陽子がさっきみんなで歩いてきた方を見た。遠くから、長く響く鐘の音が聞こえてきた。 15 終電車はもうとうに終わっている。駅舎もホームも照明が落とされて暗い。駅周辺の商店も、住宅も、明かりの漏れている建物は少なく、林や畑はもとより夜の闇そのものみたいに真っ暗、というか真っ黒に映る。 そのなかをまばらな街灯が繫いで示す道は細く頼りなく曲がりくねり、今は寝静まっているこの街の人々の住まいと住まいを結びながら闇に突っ込んだように途絶えたり、明るいオレンジ色の街灯とともに北側を太く力強く走る国道に届いたりした。 その国道こそ時折トラックなどが走ってきて去っていき、動きの乏しいこの町の夜景が、時間の止まった静止画ではないことを気づかせてもくれるのだったが、南側の畑が広がる間の細い道路を移動する自動車の光があると、むしろ時間と空間を超え来た物体を夜空に見ているような錯覚に陥った。もっともそうやって地上にばかり目を向けている間にお留守になった夜空を、何か不思議な物体が飛び交っていないとも限らない。いくら目を凝らしても見えない畑や林の真っ暗......
単語の意味
夜景(やけい)
夜空(よぞら)
夜景・・・夜の景色。
夜空・・・夜の空。
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まるでビロードの幕がゆっくりと降りてくるように、空がだんだん暗くなり
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
月のない、深い夜だった。
小川 洋子 / 一つの歌を分け合う「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
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緑の木々を切るように自動車が疾走する
川端 康成 / 掌の小説 amazon
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活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩 っている
梶井基次郎 / 檸檬
村落の茅屋が落ち葉をもたげて出た茸のよう
長塚 節 / 土 amazon
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僕は18年間、そこで実に多くを学んだ。街は僕の心にしっかりと根を下ろし、想い出の殆んどはそこに結びついている。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
町の高みには皇族や華族の邸に並んで、立派な門構えの家が、夜になると古風な瓦斯 燈の点 く静かな道を挾 んで立ち並んでいた。
梶井基次郎 / ある崖上の感情
「乗り物」カテゴリからランダム5
巨大な棺桶のようなグレイハウンド・バス
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
飛行機は蚊よりも脆く落ち
志賀 直哉 / 暗夜行路 amazon
(ホームに)電車が滑り込んでくる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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