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わたしたちの他には、誰も歩いていなかった。時々通る車の音さえどことなく柔らかく、決して静けさを破らなかった。二人の靴音だけが、心地よいアクセントになって、アスファルトに響いていた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:23% 作品を確認(amazon)
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静けさ・静寂
足音・靴音
夜のしじま(静けさ)
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前後の文章を含んだ引用
......が、僕にぴったりなじんでいる感じがした。何か懐しくていとしい気持ちにさせてくれる喪服だったんだ。うまく、説明できないけど。」 彼は一つ、小さなため息をついた。 わたしたちの他には、誰も歩いていなかった。時々通る車の音さえどことなく柔らかく、決して静けさを破らなかった。二人の靴音だけが、心地よいアクセントになって、アスファルトに響いていた。「それはきっと……」 彼は続けた。「十八人分の死の、涙とか悲しさとかつらさのせいだと思うんだ。そんなものが、喪服を優しくしているんじゃないかって……」 坂は、ま......
単語の意味
何処とも無く(どこともなく)
何処とも無く・・・はっきりとした場所は言えないが、なんとなく。どことなく。
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
何もかも何もかもあたりはじっとしている。
林芙美子 / 新版 放浪記
墓場は完全な沈黙に被われた
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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足音・靴音の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
粘りつくようなズックの靴音をひきずりながら
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
とっとっとっとっしずかに走るのでした。その足音は気もちよく野原の黒土の底の方までひびきました。
宮沢賢治 / 鹿踊りのはじまり
階段を降り始める。春の大気に、彼女の靴音がそっと差し込まれている。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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夜のしじま(静けさ)の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
窓の外には静かな夜が舞い降りていた。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
凛とした静けさは、星のない重たげな空全体に広がり
季良枝 / 由煕 amazon
ただ静かすぎる夜中だった。墓場みたいに、荒涼とした空気だけがあった。夢からさめた惨めな空間の 残骸 があった。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
あの町ですよ。昼寝しているように、いつも静かな
大仏 次郎 / 帰郷 amazon
聴くまいとするのに耳が起きている。時計が兵隊の行進のようだ。
幸田文 / 流れる amazon
答えるもののないままに電話のベルは鳴りつづけた。ベルは暗闇の中に浮かんだちりを鈍くかきまわしていた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
(ドアのノックが、)不自然なほど大きく響いた。まるで巨大な耳の中の巨大な増幅器官を叩いたみたいに。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
「歩く・歩き方」カテゴリからランダム5
忠実で鼻のいい猟犬さながらグラウンドを駆ける
奥泉 光 / 石の来歴 amazon
車道をラグビー選手のように駈けてわたり
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
飼主のない尨犬 のやう
芥川龍之介 / 芋粥
「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
もうすっかり日が暮れているのに気付き、部屋の電気のスイッチを入れた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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