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昆虫・虫の比喩を使った文章の一覧(109件)
稲の絨毯が燃え上がるように輝き、そのうえをトンボの群れが不規則な軌跡を描いて飛行する
奥泉 光 / 石の来歴 amazon
酸っぱいような蚊の唸り声
徳田 秋声 / あらくれ amazon
蝉の声が海のように鳴る
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
海老のような背をした、きたない蟋蟀(こおろぎ)
志賀 直哉 / 児を盗む話 (1948年) amazon
蝉が俗界の執念を奏でるように鳴きさかる
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
アブラムシが、バラの枝をぎっしり目のつんだ刺繍のように覆う
カレル チャペック / 園芸家12カ月 amazon
一枚の朽ち葉みたいになった蛾の死骸
堀 辰雄 / 風立ちぬ amazon
小娘の息のようなふわふわした小さな虫
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
夢現(ゆめうつつ)のようないらいらしい心を責め苛むように耳につく蚊の唸り声
徳田 秋声 / あらくれ amazon
蛾が、檜皮(ひわだ)色の小さい羽毛のような触角を突き出す
川端 康成 / 雪国 amazon
蛾が木の葉のようにぱらりと落ちる
川端 康成 / 雪国 amazon
蛾の翅(はね)が、薄紙のようにひらひらと揺れる
川端 康成 / 雪国 amazon
熱した油で水滴がはじけたような暑苦しい蝉の合唱
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
麦藁のようなカマキリが、老いさらばえた躰(からだ)を引きずって、のろのとろ歩く
内海 隆一郎 / 街の眺め amazon
花にたわむれている蝶は粉雪のように軽い
白洲 正子 / 能の物語 amazon
蜘蛛が毬(まり)のようになってぶらさがる
ジュール・ルナール / にんじん amazon
電球が鳴きだしたかと思われるような、すがれた蟋蟀(こおろぎ)の声
里見 トン / 極楽とんぼ―他一篇 amazon
ひしめく蠅が、漣(さざなみ)が渡るように揺れて動く
大岡 昇平 / 野火 amazon
耳の底で潮騒のように鳴り響いている蝉の声
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
何万という虫の声が地鳴りのように湧き起こる草原や林
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
糸の縫い目に、白い埃のように虱(しらみ)たちがじっとかくれている
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
ポプラの幹に止まっていた硬い殻を持った虫が、風で強められた雨に飛ばされて、流れる水に逆らって進もうとしている。@略@街灯に照らされたその背中を、最初ガラスの破片と見間違えた。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
柱に蛾が止まっている。最初染みかと思ったが、じっと見ていると、かすかに位置をずらした。灰色の羽に薄すらと産毛が生えている。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
蜜蜂を迎え入れた夏菊の花が、それ自身、黄いろい豪奢な鎧を着けた蜂のようになって
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
目の前の外の日向を、青く光った虫が、青い糸を引くように筋を附けて飛んでいる。
鈴木 三重吉 / 桑の実 amazon
この虫の、灰色の統絹(ぬめぎぬ)のような毛の一面に生えた、妙に小さな頭
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
それらの虫どもは、夏の自然の端くれを粉にしたとも言いたいほどのごく微細な、ただ青いだけの虫
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
茶褐色の虫が、スースーという老人の寝息のような羽音をたてて
井上 光晴 / 小説ガダルカナル戦詩集 amazon
眉の形をした、また櫛の歯のような形でもある
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
竹棹の先で彼(マツケムシ)を刺戟すると、怒って、しまいに枝から跳ねる。釣り上げられた小魚のように@略@跳ね落ちる。
尾崎 一雄 / まぼろしの記 amazon
無数のはね虫が火花のように光って飛ぶ。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
ロバみたいに大きな蝶
安岡 章太郎 / ガラスの靴 amazon
白い蝶のむれは白い花畑のように数を増して来た。
川端 康成 / 眠れる美女 amazon
黒い蝶は、その子の胸にとまり、ぴたりと、はねをとじました。悲しいしるしのように--。
松谷 みよ子 / 黒い蝶「黒い蝶・花びら (講談社文庫 ま 2-4)」に収録 amazon
メラメラと紙のように焼けていく(蝶の)羽
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
弓弦のように引きしぼった大きな(蝶の)羽
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
二本の触角だけが絹糸のように白かった。
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
物凄く叫び立てている群集のように騒々しく不安に狂いまわった。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
拳でどんと叩くと、木の葉のようにぱらりと落ちて
川端 康成 / 雪国 amazon
枯葉のように散ってゆく蛾もあった。
川端 康成 / 雪国 (新潮文庫 amazon
秋風が来ると、その(娥の)翅は薄紙のようにひらひらと揺れた。
川端 康成 / 雪国 amazon
ぶ厚い四翅をばさばさと打ちふるたびに、綿の実のような鱗粉が片々と乱れ
北 杜夫 / 谿間にて「新潮日本文学 61 北杜夫集―楡家の人びと・他」に収録 amazon
風にながされる花びらのように、クラリネットからながれていく音楽にのって、フワーッとながれていった。
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
飾り玉のようにまん丸に蜜蜂が群れて止まっていた。
火野 葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)」に収録 amazon
病舎では一疋の蠅は一挺のピストルに等しく恐怖すべき敵であった。
横光 利一 / 花園の思想 amazon
便器は、蓋をとると、蠅が勢いよく、胡麻を撒いたように舞い上った。
平林 たい子 / こういう女・施療室にて amazon
腹のふくれたぐみのような蚊
島木 健作 / 生活の探求〈第1,2部〉 (1950年) amazon
黒胡麻のような水すまし
外村 繁 / 澪標「澪標・落日の光景 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
羽全体が植物の芽生えに髣髴(ほうふつ)していた。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
枯葉色の小さな楯のような形をしたカメ虫
森 敦 / 月山 amazon
黒い羽根がおちょこの傘みたいにそっくり返ってる
島田 雅彦 / ある解剖学者の話「ドンナ・アンナ (新潮文庫)」に収録 amazon
頭に虱が霜の降ったほどにたかっていて
石川 達三 / 蒼氓 amazon
杉林の前には、数知れぬ蜻蛉の群が流れていた。たんぽぽの綿毛が飛んでいるようだった。
川端 康成 / 雪国 amazon
漆のような真黒な羽のひらひらする、繊(ほそ)く青い、たしか河原蜻蛉(かわらとんぼ)とも言った
泉 鏡花 / 縷紅新草 amazon
中空には生徒の数に劣らない沢山の赤トンボが、まるでなにかの図案のように群れ飛んでいた。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
絣(かすり)のように群がり光る赤トンボ共
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
朱ザヤのような照りのある、小がらの赤トンボ
山本 有三 / 波 amazon
赤蜻蛉の羽がまるで銀の雨の降るように見えたんです。
泉 鏡花 / 縷紅新草 amazon
透明な大きな翅を背負うた青い小娘の息のようにふわふわした小さな虫
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
鼈甲(べっこう)のような色沢(つや)の長い足を持った女郎蜘蛛
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
一筋二筋と糸のように残って聞えた虫の音
永井 荷風 / ぼく東綺譚 amazon
虫の音の雨のようにみちた一夜
久保田 万太郎 / 市井人「市井人・うしろかげ (1950年)」に収録 amazon
そとでは虫が織るようにないている
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
まだ早い蟋蟀が一匹、ひそひそと青白い糸を引くように鳴いている。
鈴木 三重吉 / 桑の実 amazon
季節と季節を繋ぐ糸は断ち切れても、なお一筋二筋、かすかに秋を繋ぎ止めているとでもいうような鳴き声で蟋蟀(こおろぎ)が聞える。
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集 (第3巻)」に収録 amazon
雄の、羽根を擦り合せている音は、まるで小声で女を呼ぶような甘くて物悲しいものであった
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
あの鳴き声(蝉)は、いやですねえ。何だか人間の声のようじゃないですか。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
蝉のトンネルとでも云いたいほど、騒々しく鳴きしきる
里見 トン / 美事な醜聞「初舞台・彼岸花 里見トン作品選 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
池のまわりの木立から蝉の声が遠い海鳴りのように巨大なかたまりになってかれらにおしよせてくる。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
裏の丘陵は一ぱい蝉時雨で、丘が動き出しそうだ。
岡本 かの子 / やがて五月に「岡本かの子全集〈4〉 (ちくま文庫)」に収録 amazon
何かが燃え出しでもしたかのように、蝉がひねもす啼き止まなかった
堀 辰雄 / 風立ちぬ amazon
油を焦がすようだった蝉の音も次第に消えて行く
水上 瀧太郎 / 山の手の子「俤 (百年文庫)」に収録 amazon
油蝉が油を煮るように喧しくなき出した。
平林 たい子 / 施療室にて「こういう女・施療室にて (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
熬(い)りつけるような油蝉の声
長塚 節 / 土 amazon
あぶら蝉があつさをかきたてるように鳴いている
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
鼻のつまったようなみんみん蝉の声
長塚 節 / 土 amazon
遠い林の中でニイニイ蝉が痺れるような声で鳴いている。
古井 由吉 / 谷「川端康成文学賞全作品〈2〉」に収録 amazon
つくつく法師が、地獄の使者のような不吉な韻律を響かせながら
梅崎 春生 / 桜島 amazon
寄せてはまた打ち返す波のようなその(ヒグラシの)声
藤沢 周平 / 麦屋町昼下がり amazon
どこからともなく蜩(ひぐらし)の声が金鈴の雨を聴くように聞えて来る。
白柳 秀湖 / 駅夫日記 amazon
暗い土の上に水のような色でも広がるように、じいいという煙のような声が立ち浸みている。
鈴木 三重吉 / 桑の実 amazon
蜘蛛は巣をかけ始めた。偶然の風に乗って、糸をかけ、その糸を足場に魔法のように機(はた)を織る。
大庭 みな子 / 啼く鳥の amazon
つららのように下っている蜘蛛の巣
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
蜘蛛は枝のつけ根に紙の袋のような巣を構えていた。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
蝶がふらふらと宙をさまよってきて、彼女の青いワークシャツの肩にとまった。@略@蝶は恐れることを知らないように、そこで眠り込んだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
初めも終わりもない意識の流れを区切る束の間の句読点のように、あちこちに見え隠れしていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
皆が沈黙している時に誤って鳴いてしまった気まずきは、人間界でいうなら卒業式の時に「卒業生起立つ」のかけ声で、思わずつられて立ちあがってしまった在校生の心境とかなり近いものがあると思われる。
さくら ももこ / もものかんづめ amazon
小さな、赤い身体が可愛らしく、星のような黒い印はそれぞれが小宇宙にも思え、さらには、不運に満ちている七尾からすれば、ラッキーセブン、七つの星は憧れの模様と言っても良かった。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
蚊に喰われ、手や顔や足がツベルクリン反応をしたようになって
群 ようこ / 無印良女 amazon
それは無防備に増殖した、奇形の果実のようだった。表面には細かいささくれが広がり、ゆるやかな曲線模様が織り込まれていた。あまりにも大きくなりすぎ、自分でも形をまとめることができなくなって、あちこちがひび割れていた。 そのひびの間から、はちみつがこぼれていた。血液のように濃く、静かに、ひたひたと流れていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
蟬が雨降りみたいに鳴きまくり
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
彼女の背後にはバッタが一面に舞っていて、木の車が軋むような音が、ひっきりなしにしていた
小川国夫 / 小川国夫作品集〈第2巻〉(役者たち) amazon
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